優秀なプレイヤーが、リーダーになったときに陥りがちな落とし穴

リーダーやビジネスパーソンへのコーチングを行っていると、よく見かける光景があります。
それは、かつて優秀なプレイヤーだった方がリーダーになったときに、無意識のうちに陥ってしまう思考のクセや、典型的な失敗です。
本人が苦しむだけでなく、部下やチーム全体にも影響を及ぼすことが少なくありません。
今回は、そんな「優秀なプレイヤー出身リーダー」が直面しやすい落とし穴と、そこから抜け出すヒントについてお話ししたいと思います。
1. 自分と同じレベルを求めてしまう
プレイヤー時代に成果を上げていた人ほど、部下にも「自分と同じレベルの仕事」ができるはずだと無意識に期待してしまいます。
「これくらい、できて当然」
「自分ならもっと早く終わらせていたのに」
そんな思いを抱きながら部下を指導していないでしょうか?
気づかぬうちに、高すぎる基準や過剰な業務量を課してしまい、部下の負担を増やしている可能性があります。
2. できない人の気持ちに寄り添えない
「なぜそんなことが分からないのか」
「なぜそんなに時間がかかるのか」
かつて自分がスムーズにこなしていたタスクに部下が苦戦していると、理解しがたいと感じることがあるかもしれません。
しかし、その感覚がすれ違いを生み、やがて部下のやる気や成長意欲を奪ってしまうこともあります。
チームの成果は「リーダー個人の力」では生まれない
リーダーとして大切なのは、「チームの成果=自分ひとりの実力」だと思い込まないことです。
今の時代、リーダー1人がどれだけ頑張っても限界があります。
変化の激しいVUCAの時代において、成果を出すために必要なのは、チーム全体の力を引き出すマネジメントです。
チームを育てるために、リーダーができること
人を育てるには、時間も手間もかかります。
でも、だからこそ育った人材がチーム内で互いに影響し合い、リーダーひとりでは出せない大きな成果を生むのです。
リーダーに求められるのは、次のような具体的な関わり方です。
①メンバー1人ひとりの現在地を見極める
②それぞれのレベルに応じた適切な仕事の質と量を与える
③少しずつステップアップできるようにサポートする
④失敗した時には、気持ちに寄り添いながら一緒に原因と対策を考える
⑤成功した時には、一緒に喜び、成果の理由と次の成長につながるヒントを考える
特に④と⑤を丁寧に行うことで、リーダーへの信頼感が高まり、チームは一層強くなります。
信頼がチームをつくります。
リーダーとメンバーは、同じではありません。
立場も、経験値も、得意なことも異なります。
だからこそ、リーダーがメンバーの立場に立って考え、信頼し、導いていく姿勢が大切です。
リーダーがメンバーを信頼し、メンバーもリーダーを信頼する。
その双方向の信頼関係こそが、強いチームの土台になります。
あなた自身が、そんな信頼でつながったチームをつくるリーダーになることを、心から願っています。