「自分だけよければいい」の壁を越える:上司が育む、共感と繋がりのヒント

近年、社会全体で個人の尊重が叫ばれる一方で、
時として「自分だけよければいい」という価値観が散見されるように感じませんか?
職場やチームでの支え合いが求められる場面で、
周囲への配慮が欠けてしまうと、組織全体の活力やチームの温かい絆が失われかねません。
もしあなたが、上司としてそんな状況に直面しているのなら
どうすれば相手がより広い視野を持てるようになるのか、一緒に考えていきましょう。
なぜ「自分だけ」になるのか?
この「自分だけよければいい」という考え方は、決して悪意から生まれるものばかりではありません。
多くの場合、その背景には、無意識の自己防衛、過度なストレス、
あるいは単に「どうすれば周りを意識できるのか分からない」という戸惑いが隠されていることがあります。
現代社会の競争が激化し、個人に大きなプレッシャーがかかる中で、
自分のことで精一杯になってしまうのも無理はありません。
また、過去の経験から「自分を守らなければ」という気持ちが強くなっている可能性もあります。
上司としてできること
では、このような状況に対して、私たち上司はどのようにアプローチすれば良いのでしょうか。
1. まずは「ありのまま」を受け止める(As-Isの理解)
相手の行動を一方的に批判したり、頭ごなしに「周りを見ろ」と指導したりすることは、
かえって反発を生み、心を閉ざさせてしまう可能性があります。
まずは、その人がなぜそのような行動を取るのか、
その背景にある感情や思考を理解しようと努めることが第一歩です。
焦らず、対話を通じて相手の「ありのまま」の現状を把握することから始めましょう。
2. 心理的安全性の高い場を築く
人は、安心できる環境でこそ、本音で語り、新しい視点を受け入れることができます。
失敗を恐れずに意見を言える雰囲気を作り、
どんな気持ちも受け止める姿勢を見せることで、
相手は「自分はここにいても大丈夫だ」と感じ、心を開きやすくなります。
心理的安全性は、他者への配慮が育つ土壌となるのです。
3. 自己理解を深めるサポートをする
「自分だけよければいい」という行動は、往々にして自己理解の不足から生じます。
コーチング的なアプローチで、「その行動が周囲にどのような影響を与えていると思う?」
「もし、〇〇さんが同じ状況だったらどう感じると思う?」といった問いかけを通じて、
自身の行動と結果、そして他者の感情の繋がりを内省する機会を提供しましょう。
自分自身の価値観や強み、そして課題を深く理解することで、自然と他者への意識も芽生えてきます。
4. 全体像と貢献の喜びを伝える
個人が組織やチームの一員であることを認識し、
自身の行動が全体にどう貢献できるのかを具体的に示すことも大切です。
例えば「あなたのこの行動がチーム全体の効率を上げ、結果としてお客様に喜ばれるんだよ」と伝えたり
「あなたが手伝ってくれると、みんなが気持ちよく行動できるね」と感謝を伝えたりすることで
自分の行動が誰かの役に立っているという喜びを実感させます。
この「貢献の喜び」こそが、他者への意識を高める大きな原動力となります。
5. 率先して「ギブ」の姿勢を示す
上司である私たちが、率先して周囲への配慮や助け合いの姿勢を示すことは、何よりも雄弁なメッセージになります。
自身の失敗談を共有し、そこから何を学んだかを伝え、誠実さと謙虚さを持って接することで、
相手も安心して心を開き、見習おうという気持ちになるでしょう。
おわりに
「そのまま、ありのまま」を受け入れ、そこから理想の姿(To-Be)へと
共に歩む道筋をサポートすることが、当社の目指すところです。
一人ひとりが繋がりの中で輝き、互いを思いやる「笑顔の組織」を一緒に創っていきましょう。