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中小企業に「人権デューデリジェンス」は関係ない?——「人的資本経営」から始める新しいアプローチ

今朝(6月29日)の日経新聞に、人権デューデリジェンス(以下、人権DD)に関する記事が掲載されていました。
日本企業の「実施せず」が過半数という調査結果に加え、
ファーストリテイリングが供給網の人権管理を厳格化するという報道もありました。

「人権DD」と聞くと、大企業やグローバル企業の話で、
自社には関係ないと感じる中小企業の経営者の方も多いかもしれません。
「うちは海外に工場があるわけでもないし」「児童労働や強制労働とは無縁だし」と。

でも実は、人権DDで求められていることの本質は、
私たちが「人的資本経営」として取り組んでいることと、
根っこのところでつながっているんです。

人権DDの本質は「人を大切にする経営の仕組み化」

人権DDとは、自社やサプライチェーンにおいて人権侵害のリスクがないかを確認し、予防・改善に取り組むことです。
具体的に見ていくと、
ハラスメントの防止、適正な労働時間の管理、差別のない採用・処遇、安全な労働環境の確保、従業員が安心して声を上げられる仕組みづくり
——これらはすべて、人的資本経営で大切にされていることそのものですよね。

三菱UFJリサーチ&コンサルティングのコラムでも、
「人権尊重の取り組みは、人的資本への投資と表裏一体」と指摘されています。
人権はウェルビーイングの基礎的要素であり、人的資本との好循環を生み出す源泉になるという考え方です。

「As-Is(現状)」を知ることが第一歩

弊社アズイズの社名には「そのまま、ありのまま」という想いを込めています。
理想の状態(To-Be)を描く前に、まず現状(As-Is)を正しく理解すること。
これは人権DDでもまったく同じです。

経済産業省のガイドラインでは、企業規模に関わらず人権DDの導入が促されています。
でも、ジェトロの調査によると、
人権DDを実施していない中小企業の最大の理由は「具体的な取り組み方法がわからない」(39.5%)でした。

だからこそ私は、人的資本経営の視点からアプローチすることをお勧めしたいのです。

人的資本経営に取り組むことが、人権DDへの対応になる

人的資本経営で取り組むテーマを思い浮かべてみてください。
心理的安全性の高い職場づくり、エンゲージメント向上、ダイバーシティ推進、健康経営、公正な評価制度、離職防止のための対話の仕組み……。

これらの一つひとつが、実は人権DDで確認される項目と重なっています。
つまり、「従業員を大切にし、一人ひとりが安心して力を発揮できる組織をつくる」
という人的資本経営の取り組みを進めることが、そのまま人権DDへの対応にもなるのです。

大企業のサプライチェーンに入っている中小企業の方であれば、
今後取引先から人権DDに関するアンケートや方針への同意を求められる場面が増えてくるでしょう。
そのとき、「人を大切にする経営」をすでに実践していれば、慌てることなく対応できます。
むしろ、それが新たな信頼や取引機会につながる可能性もあるのです。

中小企業だからこその強み

中小企業には、経営者と従業員の距離が近いという大きな強みがあります。
大企業が何百ページもの報告書をつくって形式的に対応しなければならないことを、
中小企業では経営者の想いひとつで、日々の対話や現場の改善として実現できる。

「人権DD」という言葉に構えすぎなくて大丈夫です。
まずは人的資本経営として、目の前の従業員の声に耳を傾け、安心して働ける環境を一つずつ整えていくこと。
そこから始めてみませんか?

私は、ISO30414人的資本マネジメントエキスパートとして、
またこれまでのコーチング経験から、「人を大切にする経営」は必ず組織を強くすると確信しています。
人権DDという大きな流れも、「難しそう」「うちには関係ない」で終わらせず、
人的資本経営の延長線上にあるものとして、前向きに捉えていただけたら嬉しいです。

「笑顔で働ける組織づくりの先に、人権尊重の経営がある。」
そう信じています。

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