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なぜ、出番のないスター選手はスパイクを磨いたのか——中小企業経営者に贈る、最強組織の作り方

(※本記事に掲載している画像は、AIによって生成したイメージ画像です。実在の公式ボール等を正確に再現したものではありません。記事の世界観をお伝えするためのイメージとしてご覧ください。)

6月21日、ワールドカップ第2戦で4-0の快勝を収めたサッカー日本代表SAMURAI BLUE。

試合終了の瞬間、ピッチには選手たちの歓喜の声が響き、
ベンチでは涙を流して喜ぶ選手の姿が映し出されていました。
過去の大会でわずか1勝しか挙げられず、長年「鬼門」とされてきたグループリーグ第2戦。
そのジンクスを鮮やかに打ち破った日本代表を見て、私はふと思ったのです。

「この強さは、どこから来ているのだろう?」

選手一人ひとりのスキルアップは、もちろんあります。
でも、それだけではこの圧倒的な勝利は説明できない気がしました。
試合後にじわじわと込み上げてきたのは、「日本は、チーム力で勝った」という確信でした。
そして、このチーム力こそ、限られたメンバーで戦う地方の中小企業にとって、
最大のヒントになると感じたのです。

長友選手が語った、ある光景

この試合に関する報道の中で、私の心に最も深く刻まれた話があります。

それは、長友佑都選手がミーティングで語ったという、ある光景でした。
サポートメンバーであるスター選手の南野拓実選手や吉田麻也選手が、
仲間の汚れたスパイクを、試合後にロッカーで丹念に磨いていた——という話です。

給水タイムには瀬古選手が濡れタオルを仲間の首に掛けて回り、
若手の後藤選手はクーラーボックスを抱えて全力疾走する。
長友選手自身も、声が枯れるまでベンチから鼓舞し続ける。
ベンチに入れないサポートメンバーやメンター陣も、それぞれの立場から全力を尽くす。

私がこの話に胸を打たれたのは、エピソードそのものの美しさだけではありません。
ベテランである長友選手が、後輩たちの”見えない貢献”をきちんと見ていて、
それを言葉にしてチーム全員に共有した——その姿勢にこそ、このチームの強さが表れていると感じたのです。

瀬古選手も、こう語っています。

「自分が出ている試合の時には、ベンチの選手たちがやってくれる。
このチームはそれを当たり前にできる」

この「当たり前にできる」という言葉に、
チーム力の本質が凝縮されていると感じました。
出ている選手も、出ていない選手も、ベンチに入れない人も、
全員が「今、自分にできること」で勝利に貢献している
そして、その貢献を見つけ、言葉にして讃え合う文化がある。
これこそが、この組織の底力を生み出しているのです。

チーム力を生み出す3つの源泉

では、なぜサムライジャパンはこのような組織になれたのでしょうか。
私は、3つの源泉があると考えています。

1つ目は、監督が一人ひとりの可能性を信じ、適材適所に配置していることです。
森保監督は、選手の強みを見抜き、その力が最も発揮される場所に置いています。
「使われていない」のではなく「ここで力を発揮してほしい」と託される。
この信頼があるから、選手は自分の役割に誇りを持てるのです。

2つ目は、ベテラン選手が安心して進言できる関係性があることです。
今回の試合の前、4大会連続で代表に選ばれている長友佑都選手の提案で、
選手主体のミーティングが開かれました。
前回大会のコスタリカ戦で、初戦の勝利の慢心から足元をすくわれた苦い経験を教訓に、
「今こそ引き締めよう」と全員の意識を再統合したのです。

注目すべきは、これが監督からのトップダウンではなく、
現場のベテランからの自発的な進言だったという点です。
心理的安全性のある組織だからこそ、ベテランは遠慮なく声を上げられる。
これは、自律型組織の象徴的な姿です。

3つ目は、自分の貢献がチームの勝利につながると信じられる文化があることです。
スパイクを磨く姿も、タオルを掛ける姿も、
誰かに命じられてやっているわけでも、評価されたくてやっているわけでもありません。

「自分のこの行動が、チームの勝利につながっている」
「役割は違っても、全員が同じ目的に向かっている仲間だ」

——そう信じられるからこそ、人は自発的に動けるのです。
そして、その貢献を仲間が見つけて讃え合う。
だから、その想いはさらに強くなっていく。
これこそが、自律型組織であり、心理的安全性のある組織の姿だと、私は考えています。

後藤選手は、長友選手にその貢献を認められたとき、
「めちゃくちゃ嬉しかった。佑都さんが見ていてくれた」と語っていたそうです。
それは「評価されて嬉しい」のではなく「自分の想いがちゃんとチームに届いていたんだ」
と、わかった嬉しさだったのではないでしょうか。

学ぶべきは「選手のレベル」ではなく「組織の作り方」

ここまで読んで、こう感じた経営者の方もいらっしゃるかもしれません。
「サムライジャパンは日本トップの精鋭たち。うちのような中小企業とは前提が違うのでは?」と。

その通りです。
彼らは間違いなく、サッカー選手として超一流の精鋭たちです。
今回の快勝の最大の要因として、選手一人ひとりの力が過去の日本代表と比べて
確実にレベルアップしていることは、間違いなく挙げられるでしょう。
海外の強豪リーグで揉まれ、世界基準で戦える選手たちが揃ってきた——これは紛れもない事実です。

その上で、私が注目したいのは、「個の力」を持った選手たちが集まったときに、
それを最大限に引き出す”組織の作り方”があったからこそ、4-0という結果につながったという点です。
どれだけ優れた個が集まっても、互いの力を打ち消し合う組織もあれば、
掛け算で何倍にも引き上げる組織もあります。
サムライジャパンは、間違いなく後者でした。

そして、この「個の力を最大化する組織の作り方」は、
規模や業種、人材のレベルを問わず応用できるものです。
森保監督の適材適所、長友選手が安心して進言できる関係性、自分の貢献がチームにつながると信じられる文化
——これらは、Jリーガーがいなくても、大企業並みの人材がいなくても、経営者の意志一つで作れるものです。

むしろ、中小企業のほうが組織の距離が近く、経営者の想いが全員に届きやすい。
一人ひとりの顔が見え、その人の強みも事情も把握できる。
「チーム力」を作る土壌としては、中小企業のほうが恵まれているとさえ、私は感じています。

私がご支援してきた地方の中小企業には、たくさんの「ベンチの選手」がいます。
子育てや介護で時短勤務をしている方、フルタイムでは働けないけれど豊富な経験を持つ方、若手でまだ表舞台に立てない方。
彼ら・彼女らは「主力ではない」のではなく、役割が違うだけなのです。

自分の役割に誇りを持って貢献できる場をつくる。
その文化を経営者がつくれるかどうかで、
中小企業のチーム力は大きく変わると、私は確信しています。

経営者である、あなたへの問い

最後に、一つだけ問いを投げかけさせてください。

あなたの会社で「自分は主力ではない」と感じている社員はいませんか?
その人の貢献を、あなたは見つけて、言葉にして伝えていますか?

主力で活躍している社員は、誰からも認められやすい存在です。
でも、目立たない場所で誰かを支えている人、
表舞台には立たないけれどチームを陰で動かしている人
——その貢献は、意識して見ようとしなければ気づかれません。
だからこそ、経営者であるあなたが見つけて、
言葉にして伝えることに、大きな意味があるのです。

長友選手が後輩たちのスパイクを磨く姿を見つけ、ミーティングで語ったように。
見えにくい貢献を見つけて言葉にすることは、
経営者にしかできない、最も大切な仕事のひとつだと私は思います。

スパイクを磨く手が、勝利を支えている。
タオルを掛ける気遣いが、チームを強くしている。
声を枯らした応援が、ピッチの選手を奮い立たせている。

そのことを、誰よりも経営者であるあなたが見つけ、言葉にして伝える。
それが、中小企業の「チーム力」をつくる最初の一歩だと、私は信じています。

あなたの会社の全員が、「このチームの一員であることに誇りを感じる」。
そんな組織をつくることは、本当に難しいのでしょうか。

サムライジャパンが見せてくれた答えは、「NO」でした。

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