「三方よし」を忘れていませんか?
トヨタのグループ企業である豊田自動織機でも不正が発覚しました。
日野自動車、ダイハツ工業に続いて3社目です。
公にはなっていませんが、もはやトヨタ自動車の内部でも
似たようなことが起こっているのではと思ってしまいます。
日本のトップ企業のトヨタ自動車グループに、一体何が起きているのでしょうか?
昨年から続いている日本企業の不祥事は、どうやら同じことが原因になっている気がします。
まず「何かおかしい」「不正ではないか」と思ってもそれを上司や社内に言えないこと。
ビッグモーター社の話を聞くと、まるでいじめのような言動を上司から受けていたとか。
そんな上司にはとても言い出せないでしょうし、信頼し合える上司と部下との関係とは言えません。
生産性を上げるには「心理的安全性」が保たれている組織である必要があります。
心理的安全性が高い職場では、良いこともよくないことも発言でき、認め合い、
そしてお互いをカバーしながら修正、改善していけるのです。
不正を行った企業は、そこが大いに欠けていたと言えます。
2点目は、現状のままで満足していること。
企業として継続・成長していくには、社会の変化に対応していかなくてはなりません。
それと同時に企業で働く人もやはり成長していかなくては、企業の成長にはつながりません。
それであるならば、やはり企業で働くにしても同じところに留まっていては成長はないのです。
現状に満足せず、もっと良い状態にするにはどうすればいいか、
改善できるところはないかを常に考え、行動する必要があるのです。
現状を疑うこともなく、ただ淡々と仕事をしている。
そんな状況が不正企業にはあったのだと思われます。
3点目は「三方よし」の精神の欠如です。
『自分達だけがよければいい』との考え方がその企業に浸透しているのでしょう。
自分達がどこを向いて仕事をしているのか、よく考えてほしいと思います。
自分達の商品は何をするもので、どんなお客様にどんなメリットを与えているのか。
自分達は誰のおかげで良い商品を作っていけるのか。
自分達だけで商品はできているわけではありません。
原料を供給してくれるパートナーがいて、
商品を販売してくれるパートナーがいて、
商品を買ってくれるお客様がいて、
投資してくれる株主がいて、
多くの方々が支えてくれているからこそ、企業としてやっていけるのです。
「三方よし」の精神を忘れないでいてほしいと思います。
企業が大きくなればなるほど、開発工程には多くの組織が関係し、多くの人が関わります。
スケジュールの遅れが上流工程で重なると、最終工程の品質試験の部分ではスケジュール的に厳しい状況なのは間違いありません。
私も商品開発に関わった経験がある身ですので、
何とかしてスケジュールに間に合わせたいとの思いは痛いほどよくわかります。
それでもどうしても間に合わないのなら「ストップ」をかける勇気も必要なのではないでしょうか?
なぜなら、不正をして作られた商品は最高の状態ではないからです。
お客様が欲しいのは、最高の状態つまり品質基準をクリアした安全な車なのです。
お客様の笑顔のために、大切なことを忘れないでほしいと思います。