中小企業が「人的資本」に関する情報開示をするメリット、デメリット

2023年に「人的資本」に関する情報開示が大企業で義務化されてから、
採用や育成などの人材施策に投資を行うことで、
中長期的な企業価値向上につなげる「人的資本経営」の動きが加速しています。
ただしそれは、あくまでも大企業においてのみ。
中小企業はまだまだそんな余裕はないのが実情です。
中小企業でも大企業のように人的資本に関する情報開示を行うことができますが、
多くのメリットと同時にデメリットや注意点も存在します。
以下に具体的に挙げて説明しますね。
【中小企業が人的資本情報を開示するメリット】
①採用力の強化
人的資本に関する情報を公開することで、企業の魅力や働きやすさが伝わり、
求職者に対して透明性のある企業として認知されます。
特に、優秀な人材を確保するうえで、
企業の人材育成方針やダイバーシティへの取り組みを示すことは大きなアピールポイントになります。
②取引先や金融機関からの評価向上
情報開示が進むことで、経営の健全性や従業員を大切にする姿勢が伝わり、
取引先や金融機関からの信頼度が向上します。
例えば、金融機関からの融資評価が向上する可能性もあります。
③社内の意識改革とエンゲージメント向上
人的資本の開示に取り組むことで、社内でも人材育成や働き方に対する意識が高まり、
社員のモチベーション向上やエンゲージメントの強化につながることがあります。
「自分たちの会社はこういう価値観を持っている」という共通認識を作ることができ、企業文化の醸成にも貢献します。
④企業価値の向上とブランディング
人的資本に関する情報開示は、企業のブランド価値を高める要因の一つです。
社会全体が「企業の持続可能性」や「人的資本の活用」を重視するなか、
積極的な情報開示は競争力強化にもつながります。
【中小企業が人的資本情報を開示するデメリット・注意点】
①開示にかかるコストや負担
人的資本に関するデータを収集・分析し、適切な形で公表するには、時間やコストがかかります。
特に、人的資本経営の取り組みが十分でない企業にとっては、
まず内部の体制整備が必要になるため、負担が大きくなる可能性があります。
②開示内容が逆効果になるリスク
例えば、開示する情報が不十分だったり、業界水準と比較して見劣りする内容だったりすると、
「人材投資が不十分な企業」と評価される可能性があります。
開示する以上は、継続的な改善や取り組みが求められます。
③競合他社への情報流出
人的資本の開示を進めることで、競合他社に自社の経営戦略や人材育成方針が伝わる可能性があります。
特に、採用戦略や教育制度の詳細を開示する際には、どこまで情報を出すのか慎重に検討する必要があります。
④社員とのギャップが生じる可能性
「情報開示をしたけれど、実態と合っていない」という状態になると、
社内から不満が出ることもあります。
社員にとって納得感のある形で開示することが重要です。
では、中小企業の人的資本に関する情報開示はどうすればよいのでしょうか?
中小企業には「段階的な情報開示」がおすすめです。
中小企業が人的資本情報を開示する際は、
最初から詳細なデータを公表するのではなく、できる範囲から少しずつ進めるのがおすすめです。
例えば、
・自社の経営理念や人材育成方針を公開する
・社員の成長事例や働き方の取り組みを紹介する
・ダイバーシティや健康経営の取り組みを報告する
といった形で、企業の価値観を伝える情報から開示を始めると、
負担が少なく、社内外へのポジティブな影響も得られやすいと思います。
人的資本の情報開示は、適切に行えば企業価値の向上につながる強力なツールになります。
自社に合った形で、無理なく取り組むことが重要です。
中小企業の人的資本開示に関するご相談は、
ISO30414人的資本マネジメントエキスパートの観点からアドバイスできる当社に、お気軽にお問い合わせください!