Loading...
BLOG

「家庭の事情なら仕方がない」は本当?経営者が気づかない退職理由の「本音と建前」

「最近、信頼していたキーマンが急に辞めてしまった」
「短期間で複数の社員が次々と退職してしまい、困り果てている」

こうした切実なお悩みを、地方の中小企業の経営者様やHR担当者様から伺う機会が増えています 。
退職する本人に理由を尋ねると、「親の介護」や「育児」など「家庭の事情」だからと返ってくるケースが非常に多いようです 。
「ご家庭のことなら、会社としては引き止めようがないな……」
そう納得して、あえて深く追究せずに、静かに送り出されているのではないでしょうか 。

実は、この記事を書いている私自身も、かつて会社を退職した際、本当の理由は一切伝えずに辞めました。
「職場に波風を立てずに円満に去りたい」という思いが強かったからです。
さらに私の場合、同じ会社に夫が残り、働き続けることが決まっていました。
「私が本音を言うことで、夫の立場を悪くしたくない」という切実な事情もあり、
無難な「建前」だけを伝えて退職しました。

このように、去りゆく社員の胸の内には、会社側が想像する以上に複雑な「大人の事情」や心理が隠されているのです。

退職者の「88%」が本音を隠して辞めていく現実

驚くべきことに、退職者の大多数は本当の理由を会社に伝えていません 。
1年以内に退職したビジネスパーソンを対象とした実態調査では、
実に88%が「会社に伝えなかった本音がある」と回答しています 。
(出典:(株)ハッカズーク「退職理由の本音と建前に関する実態調査」)

この衝撃的な数字を目にしたとき、リーダーとして深い危機感を抱かざるを得ないのではないでしょうか。
なぜ、これほど多くの人が本音を隠すのでしょうか。
それは、会社が「それなら納得して送り出すしかない」と思う
“都合の良い理由(建前)”を、あえて選んでいるからです 。

同調査によると、会社に伝えた退職理由(建前)の第1位は「家庭の事情(48%)」です 。
これに対し、隠された「本音の理由」の上位には、以下のような問題が並んでいます 。

・職場の人間関係や上司への不満
・労働環境や労働時間への不満
・評価制度への不信感や、自身の成長実感のなさ

本当は「社風や人間関係」に耐えかねて辞めるにもかかわらず、
円満に退職するために「家庭の事情」という建前を選択しているのです 。

「仕方がない」という解釈が招く、離職のドミノ

退職者から家庭の事情を告げられた際、
企業側は「自社の努力ではどうにもならない」と自己完結しがちです 。
しかし、ここに組織が機能不全に陥る最大の罠が潜んでいます。

本当の原因が社内にあるのに、その事実に気づくことができません 。
結果として、何も改善されないまま同じ問題が社内に放置され続けることになります 。
特に優秀なキーマンほど、職場で波風を立てることを嫌い、静かに、そしてスマートに去っていきます 。
その様子を見て、残された社員は、どう思うでしょうか?

「この会社に自分の未来はあるのだろうか」と不安を感じるようになります 。
この不安が職場に伝染し、短期間に複数の退職者が相次ぐ「離職ドミノ」へと発展してしまうのです 。

「家庭の事情だから仕方ない」とあきらめるたびに、
組織の歪みはさらに深まり、次の離職者を生むという終わりなき悪循環が繰り返されていきます 。

まずは「仕方がない」を疑うことから

まずは「本当に家庭の事情だけなのだろうか?」と、
一歩立ち止まって自社の様子を客観的に見つめ直すことから始めてみませんか?
離職ドミノを食い止める最初のきっかけになるはずです。

次回の記事(第2弾)では、この悪循環を根本から断ち切り、
「誰も辞めない組織」をつくるための具体的なアプローチを詳しく解説します。

シェアする

Category