高市さんのリーダー像に感じる期待と不安──多様性社会に問われる「強さ」とは

女性初の総理大臣が誕生。それでも素直に喜べない理由
日本初の女性の総理大臣が誕生しました。
本来であれば、女性の活躍を望む私としては諸手を挙げて喜びたいところではありますが、
実のところ、そうでもありません。
なぜなら、高市さんは昭和のバリキャリ世代であるからです。
バリキャリ世代の女性たちは、昭和の男性中心社会の中で、
男性と同じ働き方で必死にキャリアを築いてきました。
結婚・出産後も働き続ける道を切り開いた先駆者であり、
彼女たちがいたからこそ、今の女性たちはより自由に社会で活躍できるようになったのは間違いありません。
ただ、「男性と同じように働く」ことで居場所を確立してきた世代だからこそ、
その価値観を次の世代にも求めてしまう傾向があるのも事実です。
「働いて、働いて、働く」リーダー像への違和感
高市さんは自民党総裁に選ばれた際、こう語りました。
「ワークライフバランスを捨てる」
「働いて、働いて、働く」
「自民党員には馬車馬のように働いていただく」
もちろん、国を背負う政治家としての覚悟や責任感を表した発言でもあるでしょう。
しかし同時に、令和の今この言葉を聞くと、
多くの人が「またあの時代に戻るのか」と不安を覚えたのではないでしょうか。
今の時代に求められているのは、「休まず働く」ことではなく、
「多様な事情を抱えた人たちが、安心して力を発揮できる社会をつくること」ではないかと思います。
新しいリーダー像に期待したい
女性が男性と同じように働けるようになったことは、確かに一つの進歩でした。
けれども、今の社会が目指すべきは「男性のように働く女性」ではなく、
「一人ひとりが自分らしく働ける社会」です。
高市さんが女性初の総理大臣として歴史に名を刻むなら、
ぜひ“新しい女性リーダー像”を示してほしいと思います。
「男性のように強く振る舞う女性」ではなく、
「多様な価値観を受け入れ、他者と共に進むリーダー」。
その姿を見せてくれたなら、きっと多くの人が希望を見いだせるはずです。
強さとしなやかさ。その両方が必要な時代に
とはいえ、感じ方は人それぞれです。
高市さんのように「厳しく自らを律し、結果で道を切り拓く姿」に共感する人もいれば、
「もう“頑張り続ける働き方”は変えたい」と思う人もいるでしょう。
どちらの視点も、今の社会にとって欠かせないものだと私は思います。
大切なのは、互いの価値観を否定するのではなく、
違いを認め合いながら「これからの働き方」「これからのリーダー像」を共に描いていくこと。
それこそが、真の意味でのダイバーシティではないでしょうか。
日本初の女性総理誕生を、ただ“象徴的な出来事”として受け止めるだけでなく、
私たち一人ひとりが改めて考える機会にしたいと思います。
あなたはどう思いますか?
“頑張ること”を重んじる強さと、“多様性を受け入れるしなやかさ”。
これからの日本に、本当に必要なのはどちらの力でしょうか。
リーダーに求められる姿は、時代とともに変わっていきます。
「強さ」も「しなやかさ」も大切にしながら、
一人ひとりが自分らしく力を発揮できる組織を、私たち自身がどう育てていくか。
その問いを、これからも共に考えていきたいと思います。


