「普通の結婚」って何?今の時代の「普通」について考えてみました。
2020年9月、東京都足立区の議員の発言がSNS上で炎上しました。「L(レズビアン)やG(ゲイ)の人が法律で守られると足立区は滅んでしまう」的な発言や「普通の結婚をして、普通に子どもを産んで、普通に子どもを育てることがいかに人間にとって大切か」的な発言をしたことがきっかけでした。
今の日本では、確かに少子高齢化が進行しつつあり、出生数が増えることも大事だと思いますが、昭和初期生まれの日本男性が言いそうな発言!(これは差別発言でしょうか?!)「普通に結婚して、普通に子どもを産んで」が今では普通じゃないこと、全然わかっていないと思います!
今の時代の「普通の結婚」について、きちんとしたデータをもって私なりに考えてみました。
今の時代の「普通の結婚」とは?
今の時代の普通とは、こんな感じです。
- 平均結婚年齢
(データ元:厚生労働省 平成30年度人口動態統計特殊報告(確定数)の概況)
・2018年 男性 31.1歳、女性 29.4歳
・2005年 男性 29.8歳、女性 28.0歳
・1955年 男性 26.6歳、女性 23.8歳
男性も女性も確実に晩婚化してきているのが一目瞭然ですね。 - 合計特殊出生率
(データ元:2019年人口動態統計(確定数)の概況)
・2019年 1.36人
・2015年 1.45人
・2005年 1.26人
・1985年 1.76人
合計特殊出生率(女性が一生のうちで産む子どもの数)は1985年から年々減少してきた後、2005年から微増したにも関わらず、2015年からまた減少に転じ、2019年は1.36人となっています。また、最も合計特殊出生率が高い年齢階級は、30~34歳になっています。 - 未婚者の結婚観
(データ元:日本財団 第1回1万人女性意識調査「テーマ 家族・夫婦 昔と今」)
「希望や安心を感じる」51.2%
「経済的な安定を得られる」53.9%
「親戚・家族関係が複雑になりわずらわしい」56・0%
「自由がなくなりそう」59.7%この調査は女性だけですが、結婚に対して「希望や安心」「経済的な安定」も過半数を超えていますが、「親戚関係がわずらわしい」や「自由がなくなる」などのマイナスイメージも高い数字を示しています。
また、平成25年の厚生労働白書によると、「結婚するのが当たり前」という社会の圧力は弱まり、結婚が人生の「選択肢の1つ」となっているという結果も見られます。
変化した理由は?
昔に比べ、現在の日本の結婚事情は大きく変わってきています。
厚生労働白書からもわかるように、以前は結婚すると、「男性は外で働き、女性は家庭に入り家事・育児をすること」が当たり前だった時代から、女性の社会進出に伴い、「結婚しても女性も仕事を続けること」が当たり前になるばかりか、結婚の必要性を感じていない女性も少なくない状況です。
女性の活躍推進も結婚を遅くしている、あるいは未婚につながる原因の1つです。でも働く女性にとっては、子どもを産むべきか、キャリアを積む方が優先か、非常に難しい選択となっています。
さらに拍車をかけたのが、非正規雇用労働者の増加です。男性が非正規雇用で働いている場合、男性だけが働いていては、家計が苦しく、子どもを産み育てる余裕もありません。
そんな事情を棚上げしておいて、「普通の結婚」をしろと言うのは、まさに「木を見て森を見ず」ということに他なりません。
まとめ
この数十年間で、昭和のなつかしき時代から急激に生活スタイルが変わり、これまでの常識が大きく変化しています。その中で、この問題発言をした昭和初期生まれの政治家の方は、すでに時代から取り残されていることに全く気づいていない様です。
こんな調子では、足立区はどんな住民にとっても、住みやすい街ではなくなるのではないでしょうか。足立区のみならず、日本全体で取り組んでいかなければならないこの問題ですが、まさにこの区議会議員と同年代の方ばかりの「おじいさん政治」では、全く期待できないのは私だけでしょうか…?