リーダーに必要なコミュニケーションとは
リーダーや管理職の方々のお悩みの1つにいつも挙げられるのは、
メンバーや部下への「コミュニケーション」についてです。
簡単なようで、実は非常に難しく、そしてリーダーシップにはとても重要なのです。
そこで今回は、リーダーに必要なコミュニケーションについてまとめました。
リーダーの役割
リーダーの役割とは何でしょう?
リーダーや管理職としての役割は、「組織やメンバーをまとめて、目標達成や成果を出すこと」
そして「部下を育てること」だと私は思います。
リーダーとして自身が機能するには、ましてやリーダーとして活躍するためには、リーダー1人ではできないのです。
リーダーがそれまでにいくら優秀なプレイヤーだったとしても、自分1人では無理なのです。
メンバーや部下と信頼関係で結ばれ、そしてメンバーや部下が自律的に動いていく組織でなければ難しい。
でもただ「これをやって。」「あれをして。」と命令だけでは人は動かないばかりか、成長は全くしないんです。
そのためには、リーダーとしてコミュニケーションスキルを磨く必要があります。
大切なコミュニケーションスキル3つ
リーダーとして自身が機能するためには、「コミュニケーションスキル」がとても重要になります。
そのコミュニケーションスキルについて、大きく3つ取り上げました。
それぞれ一つずつ見ていきましょう。
伝える力
「伝える力」は、「伝わる力」とも言えます。
ただ単に言いたいことを感情のままに伝えることではありません。
どう伝えれば、メンバーに届くのか、
どう伝えれば、メンバーがきちんと聞いてくれるのか。
相手に伝わらなければ、自分ではどんなに一生懸命に伝えたつもりでも全く意味がないのです。
「伝える力」として大切なことは
・伝えたいことを簡潔にまとめる
話が長ければ人は集中して聞くことができません。伝えたいことは整理して簡潔にまとめ、
そしてきちんと伝わったかどうか、最後に確認することも必要でしょう。
あまりに伝えたい情報がたくさんある場合は、口頭ではなく文字にして伝えることも考えましょう。
・目的を伝える
指示や依頼の場合は、「何のために」やるのかという目的も伝えることが大切です。
目的を伝えることで、場合によってはメンバーは自身で考え、指示した以上のことをやってくれる場合もあります。
「指示したことしかやらない」と嘆くことも減るでしょう。
・自分の思いを伝える
褒める場合も、叱る場合もリーダーの思いをきちんと伝えましょう。
△「あなたは上手にプレゼンしましたね」 ⚪︎「(私は)あなたのプレゼンはこれまでで1番よかったと思ったよ」
×「どうして君はいつも遅刻するんだろうね」 ⚪︎「私は、君がいつも遅刻するのが非常に残念だよ」
いわゆるYOUメッセージではなく、I(アイ)メッセージです。
Iメッセージの方が、よいメッセージもそうでないメッセージも受け取る側に深く、重く伝わります。
そのため、褒める場合はより喜びとなり、叱る場合も反省に繋がりやすくなります。
特に、このIメッセージは、『アサーティブコミュニケーション』と呼ばれる
「相手の思いを大切にしつつ、自分の言いたいことを伝える」手法にはとても有効な方法です。
ぜひマスターして、自分の言いたいことをしっかりと相手に伝えましょう。
聴く力
あなたは人の話をきちんと聴いていると自信を持って言えますか?
部下があなたに話しかけてきた時、部下の目や表情を見ながら話を聞いていますか?
もしそんな簡単なことさえもできていないのであれば
あなたの中に情報が入ってこないばかりか、
部下はあなたが「話を聞いてくれない人」という印象を持つでしょう。
それでは、リーダーとしてメンバーとの信頼関係は全く築けません。
信頼関係を築くには、言いたいことを「伝える」より
どれだけ部下の話を「聴く」かの方が大事になってくるのです。
「聴く力」として大切なことは
・聴く姿勢が大事
先ほど伝えたように、話し手の目や顔を見ながら話を聴く姿勢が大切です。
「私はあなたの話を聴いているよ」というアピールになるからです。
部下があなたに話しかけてきたら、仕事の手を休めて、
しっかり相手を見ながら、できれば優しい表情で話を聴きましょう。
忙しい時は「今忙しいから、⚪︎分後でいい?」などと断り、余裕を持って話を聴ける環境を作りましょう。
・共感しながら聴く
「うんうん」「へぇ〜」と言った頷きやあいづち、または「それで?」や「それから?」
などを間に挟みながら話を聴きましょう。また少し感情的な言葉が出てきたら、
全く同じように言葉を繰り返すことも効果的です。
部下「私はそれでめちゃくちゃ頭に来たんですよ!」
私「めちゃくちゃ頭に来たんだ。」
部下「そうなんですよ!それで…」
共感しながら話を聴くことができると相手はどんどん話しやすくなり、
「この人と話をするとよく聴いてくれるなぁ」と感じるようになります。
・やってはいけないこと
話したい内容がまとまらずに、何を言いたいのかがわからない部下もいます。
それでも話を急がせるために先読みした発言をしたり、途中で言葉を遮ったりしないことが大切です。
また、せっかくメンバーが話をしに来てくれたのに、相手の言うことを否定したり、
お説教したり、アドバイスしたりなど、聞き手側が話をし始めることもタブーです。
まずは信頼関係を築くために、メンバーの話をしっかり聴くことが大切なのです。
そのためにも上司側がきちんと話を聴ける環境づくりをしてから臨みましょう。
質問力
私はよくわが子に対してやってしまうんですが、
何かを質問された時に、すぐに答えを言ってしまうことがあります。
それでは子どもの「考える力」が育ちません。
部下やメンバーも同様です。
1から10まで全て上司に質問し上司がそれに答えてばかりでは、部下の成長はありません。
部下の「考える力」を養うためにもリーダーとして「質問力」を磨きましょう。
「質問力」で大切なことは
・アドバイスをする前に質問する
こちらもついやってしまいがちですが、何か問題が起こった時、あるいは質問された時に
自分の考えやアドバイスをする前に、「あなたはどう思う?」「どうしたらよかったと思う?」
など質問してメンバーに考えさせましょう。これを何度も繰り返すことで、
メンバーは上司に容易に質問するのではなく、まずは自身で考えた後で
「自分はこう思うんですが、これでよいでしょうか?」と言った質問に変わってきます。
メンバーの意見を聞いた後も、さらに質問を繰り返しながら一緒に答えを探していきましょう。
・過去質問より未来質問
過去の原因の追求などの場合以外は、なるべく未来に視点を置いた質問を心がけましょう。
×「どうしてできなかったんですか?」「なぜあんなことを言ってしまったんですか?」
⚪︎「これからはどうしたらうまくいくと思う?」「次は何から始めたらいいと思いますか?」
過去質問を多くすると、メンバーには自分が責められてばかりいるような印象を受けてしまいます。
原因がわかったら、次はどうしたら失敗しないか、より上手くいくかなど未来へ意識を向けましょう。
・質問の効果
質問の種類はいくつもあり、ここではその全てをご紹介できませんが、
それらをうまく使いこなすことで、様々な効果が得られます。
「答えを見つける」「気づきやひらめきを得る」「考えやヒントを広げる」「視点を変える」
「具体的にする」「目標や未来のイメージを描く」「欲しい知識や情報を思い出す、たどり着く」などです。
それぞれの効果をもたらす質問を自身でピックアップして、上手に使っていきましょう。
・質問の種類
質問の種類についてはよく言われていますが、2つあります。
「クローズドクエスチョン」…Yes / Noで答えられる質問です。
「オープンクエスチョン」…5W1Hの質問。答えはいくつもあります。
クローズドクエスチョンばかりを繰り返すと、
答えを誘導することにつながったり、詰問に近くなったりするので、注意が必要です。
ただ、良いタイミングで使うことができると、メンバーの意思決定などの重要場面での
後押しになるので、クローズド/オープンクエスチョンの上手な使い分けが大切です。
コミュニケーションを取る時の条件
3つのコミュニケーションスキルについて、ご紹介しましたが、
そのどの場合においても、必須な条件があります。
それは、リーダーであるあなた自身の気持ちや環境がフラットな、落ち着いた状態であることです。
急ぎの仕事がある時に、大切なことを伝える余裕もないでしょうし、
もちろんメンバーの話を聴いている場合でもありません。
自身が忙しい時は、前述したように、コミュニケーションの時間を
少しずらしてできるのであれば、時間をずらしましょう。
あるいは、今メンバーから話を聴かなければならない緊急の場合であれば、
一旦深呼吸をして、自身の気持ちを落ち着けてから、
あるいは仕事を一旦中断して、話を聴くようにしましょう。
フラットな状態でなければ、あなたのコミュニケーションスキルがどんなに上達していても
全く上手に使いこなせないまま、その会話は終わってしまうでしょうから。
おわりに
ここではリーダーに必要なコミュニケーションスキルのうち、代表的な3つをご紹介しましたが、
スキルを使いこなす上で、何より大切なことがあります。
それはメンバーを「信頼すること」です。
「信頼すること」は、相手を「承認する」あるいは「受け入れる」ことも意味します。
今はとても未熟な彼らです。
上手にできずに、イライラさせられることもあるでしょう。
成長スピードが人より遅く、のんびりの人もいるでしょう。
でも辛抱強く待ってあげてください。
「いつの日かとても素晴らしいビジネスパーソンとして成長する!」
今できないのは彼らが原因ではなく、リーダーであるあなたの力がまだ足りないのです。
彼らを信じて、焦らずに、根気強く、彼らの成長を支援しましょう。
それがリーダーとして最も大切なことだと思います。
リーダーとして無理やり「教え込む」のではなく、
コミュニケーションスキルを上手に使いながら、自分で考え行動できるメンバーを育てましょう。
まずは、メンバーとの信頼関係を結び、
それから一旦はやり方を教え見本を示し、
次に失敗を経験させ、そこから考えさせ学ばせながら、成長を促す。
メンバーの成長と共に、あなたもリーダーとして成長しているはずです。
そしてその時は、メンバーからの絶大な信頼があなたに寄せられているのです。