自分の気持ちをきちんと伝えるためにアサーションを学ぼう!
アサーティブなコミュニケーションとは
「アサーティブなコミュニケーション(アサーション)」とは、
自分も相手も大切にして自分の主張も行うと同時に相手も傷つけない、
ビジネスに非常に大切な、自他尊重のコミュニケーションのことをいいます。
今回は、このアサーティブなコミュニケーション(アサーション)を紹介します。
あなたがこのスキルを身につけることで、
ビジネスや毎日の生活の中でのコミュニケーションはより円滑になり、
人間関係は少しでも良好なものになっていくでしょう。
職場であったトラブル事例
先日私のマネジメントする部下たちの中で、
人間関係に関するトラブルが発生しました。
若手リーダーAさんの攻撃的な言動を伴う指導に
「もう耐えきれないので、どうにかして欲しい!」と
Bさんからの訴えがあったのです。
Aさんは気分屋で、機嫌の悪い時にメンバーのミスがわかると、
同じ指導でもひどくきつい言い方になるのです。
この時のトラブルは、Bさんが期限までに
書類を完成させ提出できなかったことがきっかけでした。
A:「Bさん、また提出期限守れてないんだけど。先日も同じミスして、一体何度言ったらできるの!?」
B:「(遅れた理由はあるけど…。でもきっと今はわかってもらえない。)すみません。今後は気をつけます。」
という具合に、Aさんの強い叱責に、Bさんは委縮し、
職場に不安を感じるようになり、今回の訴えにつながったのです。
アサーションの3つの自己表現タイプ
アサーションの自己表現には、
主に「攻撃的」「非主張的」「アサーティブ」の3つのタイプがあります。
もちろん、自分自身のタイプも理解することが大切ですが、
自分以外の、特に自分の利害関係者のタイプを知っておくと
仕事をやっていく中で有効な知識となり、仕事が進めやすくなります。
では、この3つのタイプを細かく見ていきましょう。
攻撃的(アグレッシブ)タイプの特徴
攻撃的タイプは、自分の意見や考え、気持ちをハッキリ言い、
自分を優先することで、相手の言動を抑えようとします。
その特徴は
・相手を強く言葉で責めたり、大声で怒鳴ったりする
・相手の気持ちや要求を無視し、自分の意志を全うする
そのためには、明確な悪意や不当な非難・侮辱などを伴うことがある
・権力のある人がその地位や力を使い、弱い立場の人に自分の要求を押し付ける
「パワハラ」や「セクハラ」なども含まれる
・精神的に幼い部分がある
などが挙げられます。
非主張的(ノンアサーティブ)タイプの特徴
非主張的タイプは、自分の意見や考え、気持ちを表現しなかったり
うまくできなかったりするタイプです。
日本人に比較的多いのがこのタイプになります。
その特徴は
・自己主張が控えめ、もしくは苦手
・あいまいな言い方をしたり、消極的な態度をとる
・自信がなく、不安が強い状態を隠して卑屈な気持ちになる
・物静かな性格と思われる
などが挙げられます。
アサーティブタイプの特徴
アサーティブタイプは、
自分の気持ちや考えを大切にしつつ
同時に相手の気持ちや考えを尊重しようとします。
自分も相手も大切にする、誰もがめざしたい自己表現です。
その特徴は
・自分の気持ちに正直で率直であるが、相手の気持ちも理解しようとする
・場の空気を重んじ、その場にふさわしい方法で表現する
・相手と意見が異なるときも、すぐに折れたり相手に合わせようとはせず、
根気強くお互いの意見を出し合い、納得いく結論を出そうとする
などが挙げられます。
今回の問題を解決するには
今回の私の周りで起きた問題を、このアサーティブなタイプで考えると
まさしくAさんは「攻撃的タイプ」であり、Bさんは「非主張的タイプ」です。
Aさんの場合(例えBさんにミスや落ち度があったとしても)
Aさんの攻撃的な指導や態度は、本質的な問題解決には至らず、
Bさんの気持ちを傷つけ、惨めな気持ちにさせてしまうだけでなく、
このままこのような言動が続けば、
パワハラだと思われてしまう可能性もあります。
Bさんの場合、Aさんに対して自分の気持ちを何も伝えなければ
BさんがAさんの攻撃的な言動に対して抱いている
ビクビクした気持ちやつらい思いはAさんには伝わらず、
Aさんの攻撃的な態度を改善することにはつながりません。
ましてや、Bさんの期限に間に合わなかった何らかの理由に対しては
全く対処できていないのです。
私は、
『Bさんの気持ちを考えて、落ち着いて自分の気持ちや意見を伝えるように指導をすること』
『自分の気持ちや期限に間に合わなかった理由を正直にAさんに伝え、Bさんのミスに関してはAさんの指摘通り改めること』
と指導することにしました。
アサーションが使われるようになって
アサーションは、1950年代にアメリカで生まれた考え方で、
当時は「アサーション=自己主張」と定義されていました。
現代のように、相手の気持ちも思いやるコミュニケーションになったのは
アメリカの黒人差別における公民権運動からだといわれています。
日本においても30年ほど前からアサーションは取り入れられてきましたが、
社会や人間関係のつくり方、コミュニケーションの方法など
目まぐるしく変わってきた現在では、
このアサーションの考え方や方法を多くの分野で見直されています。
このアサーションは、職場の人間関係だけに限らず、
家庭や子育てにおいても非常に有用なコミュニケーション方法です。
ぜひ自身のアサーションのタイプを知り、そして身につけることで
人間関係をよりよいものとし、自分自身の可能性を広げるだけでなく
お互いに思いやれる素敵な家庭を築いていってください。