リベンジ退職を防ぐ〜退職は「終わり」ではなく、「つながり」の始まりに

前回の記事では「リベンジ退職」を防ぐために、日々の職場環境や人間関係づくりに焦点を当てた対策をご紹介しました。
けれど、どれだけ良い職場環境を整えていても、キャリアの方向性や家庭の事情など、
やむを得ない理由で退職に至るケースは避けられません。
そんな時に大切なのは、その退職のプロセスを「円満で建設的なもの」にすること。
退職は確かに雇用関係の区切りではありますが、
人としてのつながりまで終わらせる必要はないのです。
むしろ、退職の対応次第で、企業の信頼や評判、
そして未来の「再び働きたい場所」になれるかどうかが大きく変わってきます。
今回は、退職を前向きに送り出すための「退職時」と「退職後」の対応について、具体的にご紹介します。
退職意向を伝えられた時、どう対応するか
突然、退職の申し出があった時、驚きや戸惑い、そして時に寂しさを感じるのは当然です。
けれど、まずは落ち着いて、その気持ちに寄り添うことが大切です。
特に今の時代、「全く引き止めない」ことで逆に「軽く扱われた」と感じてしまうケースもあります。
一方的な引き止めではなく、相手の話に丁寧に耳を傾け、誠意を持って対応することが、信頼関係を保つ鍵になります。
1. 初期対応を丁寧に
・責めるのではなく、落ち着いて理由を聞く
・これまでの貢献に、心からの感謝を伝える
・詰問したり、感情的な言葉で引き止めない
2. 引き継ぎも「一緒に考える」姿勢で
・退職者に全てを任せない
・無理のないスケジュールを一緒に組み立てる
・引き継ぎ資料はフォーマットなどでサポートする
3. 手続きの「わかりやすさ」も配慮を
・手続きチェックリストの提供
・専任窓口を設けて相談しやすく
・オンラインで完結できる部分を増やす
「送り出す文化」が、未来への信頼をつくる
退職は、別れではなく「新しい関係のスタート」と捉える視点が大切です。
感謝の気持ちをきちんと伝え、最後まで気持ちよく送り出すことが、その後の関係づくりや評判につながります。
1. 感謝の形を伝える
・経営層や上司からの感謝メッセージ
・本人の好みを反映した送別会(無理のない範囲で)
・仲間からのメッセージをまとめた小さなギフトなど
2. 最終面談を「未来につながる時間」に
・本音を語ってもらえる雰囲気づくり
・連絡先の交換や、今後の応援の言葉を伝える
・「またいつでも戻ってきてね」のメッセージもぜひ
退職後も「つながる」関係をつくるには
今後、雇用の流動性はますます高まり、「出戻り社員(カムバック)」や元社員との連携が重要になります。
会社にとっても、企業文化を理解している元社員が再び戻ってきてくれることは、大きな強みになります。
1. アルムナイ(卒業生)ネットワークの構築
・元社員のグループやイベント、ニュースレターなどの運営
・近況報告やノウハウ交換の場に
2. 再雇用制度の整備
・明確な復職制度の設計
・退職後の経験を活かせるポジションづくり
・再入社時の手続きを簡素化
「卒業」という考え方で、円満な退職を
退職は、あくまで「ひとつのキャリアの卒業」。
大切なのは、「辞める」ことではなく、「どう辞めるか」。
そして、送り出す側として、どう関係をつなげていくか。
元従業員を「去った人」ではなく、「大切なネットワークの一部」と考える視点があれば、
急な退職を申し出た人がいても慌てずに済みますし、
これからの人材マネジメントに欠かせない姿勢だと思います。
※今回ご紹介したものはあくまでも一般的な事例です。
それぞれの企業にあったやり方があると思いますので、
御社に最適な方法を一緒に考えることができます。
当社HP(https://asis-hr.co.jp)からお気軽にお問い合わせください。