「チャイルドペナルティ」に陥らないための方法とは
「チャイルドペナルティ」という言葉を初めて聞いた時、私は一体どんなペナルティなのかと思いました。
「チャイルドペナルティ」とは、出産前後で働く女性の収入が下落する先進国共通の現象のことです。
日本の下落度合いは、他の先進国に比べてもその傾向は著しく、また収入が上がっていくスピードも緩やかです。
日本では古くから「育児は女性の仕事」と思われてきました。
そのため、現在は男性も育児休暇が取れるようになってはいますが、
時短勤務に変えたり、残業や出張を免除してもらうのは女性がほとんど。
収入と比例して減少するのが、スキルアップや仕事の負荷。
そうなるとやはり女性の昇進機会は遅くなり、このペナルティと称される収入減少が見られるのです。
では、どうすればこの「チャイルドペナルティ」を回避することができるのでしょうか?
私は3つのポイントが必要だと考えています。
企業側ができること
まず最初に挙げられるのが、企業側ができることです。
子育て期の女性のキャリアロスを防ぐための制度や風土を作ることです。
もちろん、全ての女性が育休直後からキャリアアップのために頑張りたいと思う訳ではなかったり、
そうしたいけれども家庭環境がそれを許さないという人もいるため、
今のような時短勤務や残業免除などの制度は残しつつも、
キャリアアップを望む女性のための施策も用意すべきです。
先進的な企業は、そんな制度をすでにスタートさせているようですが
まだまだ私たちの周りには遠い未来。
制度だけでなく、風土も必要です。
2022年10月から育児・介護休業法の改正で、
パパも産後に育休が取れたり(産後パパ育休)、
育休を2回に分けて取得可能など
以前より更に柔軟に育児休暇が取りやすくなりました。
とはいえ、社内の風土が育休を取ろうとするパパを
冷ややかな目で見るようでは全く意味がありません。
パパママに限らず、急に体調を崩して入院する人だっています。
突然、近親者が介護が必要になることだってあります。
そんな時にも優しくフォローし合えるそんな職場であってほしいと思います。
また、育児休暇の空白の1年。
仕事から全く離れてしまっては、育休後にキャリアアップしたいという意識より
元の仕事のペースに戻るのに必死で時間がかかってしまいます。
私の経験でも、1人目の時は元のペースに戻すのに約半年ほどかかってしまいました。
今はそこまではないかもしれないけれど、そうならないために
育児休暇中の女性社員の仕事へのモチベーションを保ち続けるための施策が必須だと思います。
周囲の環境
企業側に加えて、新米ママを取り巻く周囲の環境。
これはとても大切な条件です。
どんなに企業が良い制度をつくっても、
女性の意識がどんなに高くても、女性一人で頑張るのでは小さな子どもを抱えて
復帰直後から仕事に集中できるなんてことはまず不可能です。
①家族などの協力
夫やパートナーになる人の協力は、まず外せません。
ママとうまく調整しながら、保育園の送り迎えや家事育児を負担してくれる。
そんなパートナーが必ず必要です。
そのためには子どもができたのがわかったその瞬間くらいから、
もしくは結婚する時から、子どもができた後の女性の仕事に対する思いなどを
パートナーとしっかり話し合っておくことが大切です。
それに加えて、可能ならばご両親の協力や有料サービスなどを利用することも
時には必要になってくるでしょう。
②保育サービスの利用
保育園などの保育サービスをちゃんと受けられるかどうかは
仕事ときちんと向き合えるだけでなく、
当初の予定通り仕事復帰できるかまでにも大きく影響してきます。
保活は育休からの仕事復帰のタイミングにも大きく関わってきます。
周りの先輩ママや自治体などの相談サービスを大いに利用しながら、順調にクリアしたいところです。
③避難場所
ママに負担がかかった時に避難できる場所。
これをいくつか考えておくことも大切です。
両親や兄弟姉妹、信頼できるママ友など、
何かあった時に助けてくれる避難場所を用意しておきましょう。
もちろん1番最初の場所はパートナーであるパパですが、
それがダメな時もあることでしょう。
時にはママの息抜きする時間も必要。
そんな時に、パパだけでなくそれ以外の場所があるのとないのとでは
安心感が全く変わってきます。
女性の意識
何より必要なのは、女性本人の「強い意志」です。
育児って、出産前には想像もしていなかったほど大変なことも多いです。
育児休暇前はすぐに元の状態に戻れると思ってるかもしれませんが、
いざ産んでみたら、本当にこの生活に加えて会社で働くなんてできるのかと
途方にくれてしまうことも少なくありません。
子どもを産むということは、ゲームのようにリセットはできません。
だからこそ、産む前からよくパートナーと話をしておく必要があるのです。
自分にとって仕事とはどんな意味があるのか。
キャリアアップしてどうなりたいのか。
そんな未来を具体的に描き、そのために子どもを産んでも自分はやるんだ!という強い意志が必要です。
自分の未来を叶えるために、パートナーさんの協力がどれだけ必要で、
どんなことを一緒にしてほしいか、分担はどうするかなど、
パートナーにもきちんと伝えておくことが大切です。
育児をしながら以前と同様に仕事もこなすことの大変さ。
パートナーや周りが助けてくれるとはいえ、
子どもにとってはやっぱりママが1番なんです。
もちろんわが子はとてもかわいい。
小さな子どもを保育サービスに預けて仕事に行く自分自身がつらい時もあるでしょう。
色々な気持ちを抱え、どうしても女性に負担はかかってきます。
ハードな日々が続くと、心折れそうになることは何度もあります。
そういう訳で、やっぱり女性自身にも「強い意志」が必要なんです。
おわりに
なぜ、「ペナルティ」というマイナス表現なのかというと、
出産すると、あたかも罰せられたかのように収入が下がる状況だからだそう。
子どもをお腹に宿し、命をかけて産み育てるのは女性だけの特権。
マイナスな訳はありません。
奇跡的でとても素晴らしいことです。
育児しながら働くことは大変だと思いますが、
育児は決して「ペナルティ=罰」ではありません。
むしろ人生をより豊かにしてくれる「ご褒美」だと思います。
楽しいこと、嬉しいこと、悲しいこと、つらいこと、たくさんあると思います。
その全ての経験が、1人の女性がママになっていくために必要なのです。
そしてますます素敵な女性として成長していくのです。
忘れてはいけないのは、育児は女性だけの仕事ではありません。
産むのは女性ですが、育てるのはパパとママの2人です。
ママ1人で悩みを抱え込まないようにしてくださいね。
まずはパパとママ2人で話し合いましょう。
それでも難しい場合は、私でも構いませんし、誰か信頼できる人に相談してください。
パパママだって、失敗を繰り返しながら成長していくんです。
わからないことは経験者にどんどん相談しましょう!
パパもママも育児と仕事との両立が当たり前になった未来にはきっと、
「チャイルドペナルティ」という言葉は消えてなくなっていることでしょう。